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リスニング力の鍛え方③

2026 1/25
リスニング
2026年1月25日

――原因は記憶力ではなく、語順処理である――

リスニングでよく起きる悩みがある。
「聞こえた気がするのに、選択肢を見た瞬間に自信がなくなる」
「数字だけでなく、場所や理由のような大きい情報すら残らない」

これは集中力や暗記力の問題だと思われがちだが、実際には別の原因で説明できることが多い。


目次

“聞いたそばから消える”最大の理由

日本語と英語では語順が大きく異なる。
日本語の感覚で英語を聞くと、頭の中で次の作業が起こる。

  • 英語の語順のまま受け取る
  • いったん日本語の語順に並べ替える
  • それから意味を作る

この「並べ替え」をしている間に、次の音が流れてくる。
結果として、音声情報が上書きされ、“残らない”感覚になりやすい。

つまり、問題は記憶力ではなく、**処理の順序(語順)**である。


解決策:英語を英語の語順で処理する練習

ここで役に立つのが スラッシュリーディングである。
「リーディングの技術なのに、リスニングと関係があるのか」と言われるが、関係は大きい。

言語の技能は別々に存在しているように見えて、実際には相互に影響し合う。
英語の語順で読む習慣がつくと、聞くときにも語順のまま理解しやすくなり、聞いた内容が残りやすくなる。


スラッシュリーディングで得られる主な効果

スラッシュリーディングの効果は、概ね次の5つで整理できる。

  1. 英語の語順で理解できるようになる(最重要)
  2. 長文読解のスピードが上がる
  3. 英文解釈が正確になる
  4. リスニングが安定する(聞き落としが減る)
  5. 英語での反応が速くなる(会話のタイミングを逃しにくい)

このうち、1が整うと他も連動して伸びやすい。


スラッシュリーディングの基本(やり方)

まずは次の文を例にする。

The old man taking a walk in the park lives in the big house opposite mine.

次のように、意味のかたまりごとに区切って読む。

The old man / taking a walk / in the park / lives / in the big house / opposite mine.

ここで重要なルールがある。

禁止:美しい日本語訳を作らない

最初は日本語を使ってもよいが、目標は「並べ替え」をしないことである。
したがって、次のように“立派な日本語”を頭に作りながら読むのは避けたい。

×「公園を散歩しているその老人は、私の家の向かいの大きな家に住んでいる」

代わりに、英語の語順のまま、荒くてよいので理解を前へ進める。

○「その老人/散歩していて/公園で/住んでいる/大きな家に/私の向かいの」

最初は違和感がある。しかし続けると、語順のまま意味が取れるようになっていく。


なぜこれがリスニングに効くのか

語順読みができるようになると、聞くときにも「並べ替え」をしなくなる。
その結果、音声が流れている最中に理解が進み、聞いた内容が記憶に残りやすくなる。

また、読む処理速度が上がると、速い音声に対する耐性も上がる。
「聞こえるが消える」という症状が、徐々に改善されていく。


スラッシュの入れ方(スラッシュポイントの目安)

どこで区切るかは、英文理解の精度に直結する。
次の目安を使うと整理しやすい。

  • 前置詞の前
  • 準動詞(不定詞・動名詞・分詞)の前
  • 接続詞・カンマの前
  • 関係代名詞の前後

以下、代表例を示す。


1) 前置詞の前で切る

前置詞句は「場所・時間・状況」などをまとめる塊になりやすい。

The basketball player / in the court / looks very small / among the other big players.
そのバスケ選手は/コートにいると/とても小さく見える/他の大きな選手の中で

He was caught / eating lunch / during his English lesson / by the teacher.
彼は見つかった/昼食を食べているところを/英語の授業中に/先生に


2) 準動詞の前で切る

不定詞・動名詞・分詞は、読解難度を上げやすい要素である。塊として意識する。

My brother went to the airport / to see his friend off.
兄は空港へ行った/友達を見送りに

My hobby is / taking pictures of birds / flying in the sky.
私の趣味は/鳥の写真を撮ること/空を飛んでいる

The books / written by the writer / are a little too difficult / for me.
その本は/その作家に書かれた/少し難しすぎる/私には


3) 接続詞・カンマの前で切る

文の展開点が見えるようになる。

My mother was cooking breakfast / when I got up.
母は朝食を作っていた/私が起きたとき

Although I live near Tom’s house, / I seldom see him.
私はトムの家の近くに住んでいるが/めったに会わない


4) 関係代名詞の前後で切る

修飾の範囲を明確にする。

I have a lot of friends / who come from Germany.
私には友達がたくさんいる/ドイツ出身の

The athlete / whose gold medal was bitten / by somebody important / looked very sad.
その選手は/金メダルを噛まれて/偉い人に/とても悲しそうだった


まとめ:毎日の音読に「語順読み」を入れる

受験生は、単語・文法・過去問など、毎日やるべきことが多い。
それでも、**音読(スラッシュリーディング付き)**は外してはいけない。

聞いた英語が残らない問題は、才能ではなく処理の型で改善できる。
だからこそ、短くてもよいので、毎日のルーティンに組み込んでほしい。

最後に一つだけ補足する。
スラッシュリーディングは、題材選びで効果が大きく変わる。
闇雲に多くの長文へ手を出すより、良い英文を少数、繰り返す方が伸びやすい。
題材選びに迷う場合は、信頼できる講師に相談するのが確実である。

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